介護業界の人手不足と将来の課題

介護業界は慢性的な人手不足と言われていますが、そうなった理由として多忙な労働環境が挙げられます。要介護者の体調に合わせて仕事の時間が左右される傾向にあるため、長時間勤務や休日出勤も珍しくありません。その結果、介護職の人はプライベートの時間を割いて仕事に従事する形になってしまい、十分な休息を取るのが難しくなっています。

勤務シフトによっては昼夜逆転の生活になることもあり、体力的に持たずに離職する人が後を耐えない現状があります。そうなると、人手が足りなくなった介護施設は職員一人当たりの仕事量がさらに増加し、より労働環境が悪くなります。このように、残った人がもっと忙しくなって、ずっと離職者が尽きない悪循環に陥っているのです。

先々、介護業界が成り立たなくなるほどの人手不足に陥ると言われています。介護施設の数は増加していますが、そこで働く職員が足りなければ意味がありません。業界全体で労働環境を見直すのが課題とされていますが、法律で決められている賃金や労働時間を除く職員の待遇は施設ごとの自由裁量に任されているため、劇的な改善には至っていません。

その他、人手不足を防ぐために、定年退職者や外国人労働者を介護職に従事させることが検討されています。定年退職者の多くが高齢者であり体力が持たないことや、外国人労働者の言葉の壁や日本とのサービスの文化の違いも人手不足の解消を阻む原因になっています。こうした現状から、介護業界を取り巻く状況をより客観的に把握し、現実的な方法で解決を図ることが大事なカギになってくるでしょう。